民間の保険に加入する際、貯蓄とともに必ず考慮する必要があるのが公的保障です。毎月給料から天引きされている年金・健康保険は、あまり知られていませんが、しっかり保障があります。公的保障で受け取れる額を把握することにより、いざというときに必要なお金から公的保障で足りない額を民間の保険で準備しましょう。
受給要件 | 公的保障 | 保障内容 |
病気・けがをしたとき | 健康保険 |
療養の給付 高額療養費ほか |
労災保険 | 療養の給付ほか | |
療養のため休業しているとき | 健康保険 | 傷病手当金 |
労災保険 | 休業補償 | |
死亡したとき | 健康保険 | 埋葬料 |
年金 | 遺族厚生年金 | |
遺族基礎年金 | ||
労災保険 | 葬祭料 |
上記のうち、特に抑えておきたい公的保障を以下取り上げます。
''備えあれば、保険あり''ですが、その中でも最も経済的に助かるのが世帯主の死亡保障です。
保険加入を考える際、まずは公的保障ありきですが、死亡保障を検討する上で考慮する必要があるのが遺族年金です。
''年金''といえば、とかく年をとってもらえるもの、というイメージが強いですが、しっかり保障があります。
遺族基礎年金
遺族基礎年金とは、国民年金加入者(会社員の妻、自営業者など)が対象で、受給対象者は以下の通りです。
・死亡した者により生計を維持されていた子(18歳到達年度の3月末日を経過していない子)のある妻
・死亡した者により生計を維持されていた18歳到達年度の3月末日を経過していない子
受給年金額は、子がいる妻の場合以下の通りです
つまり子育て世帯であれば、お子様が高校卒業するまで遺族基礎年金を受け取れます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、厚生年金加入者(会社員・公務員)が対象です。主な受給対象者は、遺族基礎年金の受給対象者および子がいない妻です。
受給年金額の計算式はちょっと複雑ですので、その目安を以下ご案内します。
会社員の世帯では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が受け取れ、遺族厚生年金は生涯受給できます。ただし
夫死亡時に18歳未満の子がいない30歳未満の妻は、5年間しか給付がありませんので注意が必要です。
中高齢加算
遺族基礎年金を受給できない場合、妻が40歳~65歳の間、遺族厚生年金に加算されます。受給対象者は以下の通りです。
・夫死亡時に40歳以上で子のない妻
・子のある妻でも、40歳以降にそれまで受けていた遺族基礎年金を受給できなくなった場合
なお、遺族年金の詳細につきましては、下記日本年金機構のHPをご参照ください。
健康保険制度の医療給付(現物給付)に、高額療養費という制度があります。
これは、重い病気等で長期入院した場合治療費が高額になってしまいますが、一定の金額(自己負担限度額)までしか支払わなくてもいい、という制度です。
・自己負担限度額(70歳未満)
所得区分 | 自己負担限度額(月額) |
一般 | 80,100円+(医療費ー267,000円)×1% |
高所得者(標準報酬月額53万円以上) | 150,000円+(医療費ー500,000円)×1% |
市町村民税非課税者 | 35,400円(定額) |
・自己負担限度額(70~74歳)
所得区分 |
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外来(個人ごと) | 外来+入院(世帯ごと) | |
一般 |
24,600円 | 62,100円 |
現役並み所得者(*) | 44,400円 |
80,100円+(医療費ー267,000円)×1% |
市町村民税非課税者 | 8,000円 | 24,600円 |
年金収入80万円以下等 | 15,000円 |
*二人世帯で年収520万円以上、単身世帯383万円以上かつ標準報酬月額28万以上
たとえば、1ヶ月の総医療費が100万円(窓口3割負担前)とすると、 一般所得者の場合、80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%=87,430円しかかからないということになります。
なお、高額療養費の対象外の費用に以下の費用があり、全額自己負担しなければなりません。
差額ベット代(個室~4人部屋)
大部屋との差額が全額自己負担となります。病院が請求する際は、患者の同意が必要です。ただし、治療上の必然性があればかかりません。
先進医療の技術料
大学病院などでおこなわれる厚生労働省が「先進医療」として承認した治療にかかる技術料です。がんの放射線治療は高額となるケースがあります。
入院時食事代
一般所得者は、1食260円(1日3食780円限度)、低所得者は異なります。
なお、高額療養費の詳細は、下記協会けんぽのHPをご参照下さい。